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木村化工機株式会社 エンジニアリング事業部営業部

「蒸留=ボイラ」の概念を打破、蒸気圧縮機で熱を移動させて大幅な省エネ実現 CO2を大幅削減する
「省エネ型蒸気圧縮機式蒸留装置」を発明

 化学材料や食品などの製造工程で用いられる蒸留装置は、大量のエネルギーを消費するため、地球温暖化対策の観点から省エネ化が課題とされてきました。このたび、当社は従来の蒸留装置に比べて一次エネルギー消費量を50%以上削減できる「省エネ型蒸気圧縮機式蒸留装置」を3種類発明しました(以下「本装置」)。本装置は、予め装置全体の熱需要を自社開発プログラムで解析した上で、熱回収コンデンサ、中間リボイラなどを追加し、水を媒体とする蒸気圧縮機で熱を移動させることで、大幅な省エネを実現したことが特徴です。本装置の蒸気圧縮機には、株式会社神戸製鋼所(以下「神戸製鋼」)が開発した「スクリュ式小型蒸気圧縮機MSRC」を採用します。

 

<当社が発明した省エネ型蒸気圧縮機式蒸留装置>(詳細は添付図をご参照ください。)

 

① 蒸気圧縮機式液化ガス加圧蒸留装置
 例:プロパン2wt%-ベンゼン98wt% 一次エネルギー削減率50%

 

② 蒸気圧縮機式缶出液熱回収型蒸留装置
 例:プロパン2wt%-ベンゼン98wt% 一次エネルギー削減率53%
『①蒸気圧縮機式液化ガス加圧蒸留装置』と組合せた場合一次エネルギー削減率69%

 

③ 蒸気圧縮機式低沸リッチ型蒸留装置
 例:70wt%メタノール-水30wt% 一次エネルギー削減率64%

 

●特徴:水を媒体とする蒸気圧縮機で熱を移動させることで大幅な省エネ・CO2削減
 当社は、蒸留装置の省エネ化・CO2削減を実現するために、「蒸留にはボイラ蒸気が必要」という従来の固定概念を打ち破りました。本装置は、装置全体の熱需要を自社開発プログラムで解析した上で、熱回収コンデンサ、中間リボイラなどを追加し、水を媒体とする蒸気圧縮機で熱を移動させることで、大幅な省エネを実現したことが特徴です。
 従いまして、本装置は、塔頂コンデンサから蒸気を回収し、リボイラの加熱源とする従来システムより高い省エネ性が期待できます。

 

●神戸製鋼が開発した蒸気圧縮機を採用
 本装置で用いる蒸気圧縮機は、本装置の性能を最大限に引き出すために、神戸製鋼が2011年8月より販売している「スクリュ式小型蒸気圧縮機MSRC」の採用を前提としており、更なる高COP※1化の検討をお願いします。
 その経緯として、当社は2019年に「ヒートポンプ式アンモニア回収装置」を発明しましたが、この装置に用いる高加熱・高COPヒートポンプ「HEM-HR95-GN」の開発を神戸製鋼に依頼しました。また、当社は2020年に、神戸製鋼HEMシリーズのヒートポンプを採用した革新的な蒸留システムの特許を3件取得しており、今回発明した本装置はこれらの技術を応用しています。

 

図1:株式会社神戸製鋼所製 スクリュ式小型蒸気圧縮機MSRC

 

●他のエンジニアリング会社にもご活用いただき、早期普及を図る
 地球温暖化対策としてCO2削減を推進するためにも、本装置をできるだけ多くの企業にご活用頂くことが望ましいと考えております。当社の営業活動だけでは普及スピードが遅くなるため、当社技術を他のエンジニアリング会社等にも積極的にご活用いただき、2030年のCO2削減目標達成に向けて社会に貢献したいと考えております。本装置を含めた蒸留装置の省エネ化について4月以降に改めて雑誌投稿などで発表する予定です。
 今年英グラスゴーで開催が予定されているCOP26で、日本が世界に向けて温暖化対策を発信することを期待し、本装置がその一助になれればと考えております。

 

●本装置の一次エネルギー削減率及びCO2削減率の比較表


一次エネルギーの算出方法

  一次エネルギー換算値 産業用蒸気 = 1.02(GJ/GJ)

  一次エネルギー換算値 電気(全日買電)= 9.76(GJ/千kW)

CO2排出量の算出方法

  産業用蒸気のCO2排出係数:

      0.0036(GJ/kW)×0.0600(ton-CO2/GJ) = 0.000216(ton-CO2/kW)

  関西電力のCO2排出係数(2019年度実績):          0.000318(ton-CO2/kW)

 

※1:COP
 必要な加熱量を消費電力で除した値です。投入した電力1kW当たり、どの程度の温熱エネルギーを得られるかを表した指標で、

値が高い程、高効率となります。

 

本件に関するお問い合わせ先
木村化工機株式会社 管理部門副部門長 粂(くめ)芳明 TEL:06-6488-2501

 

                                                      以 上

 

① 蒸気圧縮機式液化ガス加圧蒸留装置
 例:プロパン2wt%-ベンゼン98wt% 一次エネルギー削減率50%

【従来型蒸留装置】        【省エネ型蒸留装置】

図2:蒸気圧縮機式液化ガス加圧蒸留装置熱バランス

 

図3:蒸気圧縮機式液化ガス加圧蒸留装置フロー

 

本装置の特徴
・塔頂と塔底の温度差が大きい液化ガス蒸留塔に最適です。塔頂コンデンサから留出ガスとして高濃度液化ガスを排出し、塔底からは、缶出液として高沸点炭化水素を回収します。
・熱の需要が回収部に集中しているため、熱回収コンデンサの冷却水から水蒸気を発生させ、蒸気圧縮機で昇温し、リボイラの熱源として再利用することにより、ボイラ蒸気量を削減できます。
・熱回収コンデンサを追加しているため、塔頂コンデンサの冷却用チラー動力を大幅削減します。

 

② 蒸気圧縮機式缶出液熱回収型蒸留装置
 例:プロパン2wt%-ベンゼン98wt% 一次エネルギー削減率53%
 『① 蒸気圧縮機式液化ガス加圧蒸留装置』と組合せた場合、一次ネルギー削減率69%

【従来型蒸留装置】          【省エネ型蒸留装置】

図4:蒸気圧縮機式缶出液熱回収型蒸留装置熱バランス

 

図5:蒸気圧縮機式缶出液熱回収型蒸留装置フロー

 

本装置の特徴
・供給液の成分に高沸点成分が多く含まれるプロセスに最適です。
・高温の缶出液から熱を回収して蒸気を発生させるため、蒸気圧縮機の圧縮比が小さくなり、エネルギーの再利用効率が高くなります。
・既設蒸留設備にも採用可能です。

 

③ 蒸気圧縮機式低沸リッチ型蒸留装置
 例:70wt%メタノール-水30wt% 一次エネルギー削減率64%

【従来型蒸留装置】          【省エネ型蒸留装置】

図6:蒸気圧縮機式低沸リッチ型蒸留装置熱バランス

 

図7:蒸気圧縮機式低沸リッチ型蒸留装置フロー

 

本装置の特徴
・供給液の成分に低沸点成分が多く含まれるプロセスに最適です。
・熱の需要が濃縮部に集中しているため、熱回収コンデンサの冷却水から水蒸気を発生させ、蒸気圧縮機で昇温し、中間段リボイラの熱源として再利用することにより、ボイラ蒸気量を削減できます。
・分割した蒸留塔に必要な熱量を各々に設置した蒸気圧縮機から供給し、最適条件とする事で省エネルギー性を向上しました。

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